2018年11月23日金曜日

AKI-80ゴールドボードを購入してみた。

2018年11月時点でも、秋月電子で販売されているAKI-80ゴールドボードです。
基板単体でも販売されていますが、電源検出IC(リセットIC)S8054が入手困難なのでキットを入手。
ボード上に実装されているのは、

TMPZ84C015-12PIO、SIO、CTC、CGCを搭載したTOSHIBA製Z80互換CPU
SRM2B256SLMX55EPSON SRAM 256kbit(32kbyte)
TC74VHC00FTOSHIBA Quad 2-Input NAND Gate
TC74VHC32FTOSHIBA Quad 2-Input OR Gate

の4つのIC。上図だと3つしかありませんが基板裏面にTC74VHC32Fがあります。
キットでは、以下も同梱されています。

パーツ名 数量 備考
S8054ALB 1 EPSON製リセットIC。PST600E-2で代用出来そうだけど在庫切れ。TCM809-Jでも代用出来ると思われる。ただし変換基板が必須。
整流用ショットキーダイオード 2 同梱品は、たぶん30V1Aの"1S3"、スーパーAKI-80では"11EQS04"が指定されている。
1S1585 1 汎用小信号ダイオード
クリスタル(水晶発振子) 1 19.6608MHz HUSG-19.6608-20
1 24.576MHz HUSG-24.576-20
電解コンデンサ(33~100μF) 1 6.3V以上。35PK47MEFC5X11
積層セラミックコンデンサ(1~1.5μF) 4 1.5μF(155)RD20F155Z1EH5L-20
積層セラミックコンデンサ(33pF) 2 33pF(33)RDE5C1H330J0P1C03B
抵抗(10kΩ1/8W) 6 RD16S 10K(1/6W)
抵抗(100kΩ1/8W) 1 RD16S 100K(1/6W)
28pin ICソケット 1 2227MC-28-06-01
40pin ピンヘッダ 2 PH-1x40SG

以上のパーツがあれば、AKI-80ゴールドボード(基板単体、保守部品)でもキットと同じく組み立て可能となります。

では、早速組み立て。。と行きたいところですが、"まず、回路図を完全に読破してください。"と取説に書いてあるので、勉強も兼ねてチクチクと調べてみましょう。

  • Z84C015BF-12
    CPUです。PIO(Parallel Input/Output)、SIO(Serial Input/Output)、CTC(Counter Timer Circuit)、CGC(Clock Generator/Controller)、Watchdog Timerなどを含めて1チップ化されているので100ピンもあります。結構これだけでゲンナリしますね。
    • ピン配置
      ピン配置は、ざっくり分けると上図のようになります。各I/Oの詳細は、本数も多いのでデータシートやAKI-80のマニュアルを参照して下さい。今回対象とするのはZ80 CPU部分だけなので他の詳細は必要ないのですが、回路図を読破するためにも100本の配置を理解しておきましょう。
    • ブロック図
      内部の構造は、下図の様になっています。
      かなり簡潔にまとまっていますが、実際に触り始めると色々制限も出てくるのでしょう。とりあえず、現時点ではスルーして先に進みます。
  • SRM2B256SLMX55
    SRM2B256SLMXは、高度なCMOS技術を使用して製造された32,768ワード×8ビットの非同期スタティックランダムアクセスメモリです。スタンバイ消費電力が非常に低く、バックアップバッテリを備えた不揮発性ストレージが必要なアプリケーションに最適で、-25〜85℃の動作温度範囲であれば工業用として理想的です。メモリの非同期および静的な性質は、外部クロックまたはリフレッシュ回路を必要としません。3ステートの出力ポートにより、メモリ容量を簡単に拡張できます。これらの機能により、SRM2B256SLMXは、マイクロプロセッサシステムから端末デバイスまで幅広いアプリケーションに使用できます。
    • ピン配置

      A0 to A14 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 25, 24, 21, 23, 2, 26, 1 アドレス入力
      WE 27 ライトイネーブル
      OE 22 出力イネーブル
      CS 20 チップセレクト
      I/O1 to I/O8 11, 12, 13, 15, 16, 17, 18, 19 データ入出力
      VDD 28 電源(2.7V〜5.5V)
      VSS 14 電源(0V)

      Modes
      Operation Mode CS OE WE A0 - A14 Data I/O
      Read L L H Stable DOUT
      Standby H X X ~ High Z
      Write L X L Stable DIN
      Output Disable L H H Stable High Z
      X = "H" or "L"
      ~ = "H","L" or "High Z"
      • Read Mode
        CS = "L"、OE = "L"、WE = "H"を保持してアドレスを設定すると、データが表示されます。OE = "H"のとき、DATA I/O端子はハイインピーダンス状態となり、回路設計やバス制御が容易になります。
      • Standby Mode
        CSが "H"のとき、チップはスタンバイモードになります。
        このモードでは、DATA I/O端子はハイインピーダンスとなり、アドレスのすべての入力、WEおよびデータは任意の "H"または "L"にする事が出来ます。
        CSがVDD-0.2Vを超えると、チップはデータ保持バッテリバックアップモードになります。この場合、メモリセルに対し微小電流が流れている状態となります。
      • Write Mode
        メモリにデータを書き込むには、次の3つの方法があります:
        1. CS="L"、WE="L"を保持し、アドレスを指定
        2. CS="L"にしてアドレスを設定し、WEに"L"信号を指定
        3. アドレス設定後、CSWEの両方に "L"信号を指定
        DATA I/O端子が上記の状態で、CSまたはWEが正相入力("L"から"H"へ変更)された場合、チップに信号がラッチアップされます。、CSとまたはOE="H"のとき、DATA I/O端子はハイインピーダンスであるため、データドライバとメモリ出力のバス競合を回避できます。
    • ブロック図
      X Decorderは、A8, A7, A6, A5, A4, A3, A2, A1, A0の9bit。10進数の値は512。
      Y Decorderは、A14, A13, A12, A11, A10, A9, A8の6bitで10進数の値は64。
      メモリは512 x 64のArrayとして格納される構造。
      Column Gateは、I/O8, I/O7, I/O6, I/O5, I/O4, I/O3, I/O2, I/O1の8bit。
      よって、512 x 64 x 8bitがメモリの容量を表す計算式となり、値は 262144bitが求められる。このままでは単位が大きいのでkbitへの置き換えを行う。
      k=1000だが、2進数がベースとなるので1000だと2進数では、"1111101000"と中途半端な値。基本的に2^10と考えるべきで、その値は1024、2進数で表すと"10000000000"。
      以上から、262144bit / 1024 = 256kbitとなる。
      8bit = 1byteとなるので、256kbit / 8 = 32kbyteが求められる。
  • TC74VHC00F
    2入力NANDゲートを4つ搭載したIC。
    NANDは、AND(論理積)の否定(NOT)で真理値は以下の様になります。
    • 真理値表
      A B Y
      L L H
      L H H
      H L H
      H H L
    • ピン配置
  • TC74VHC32F
    2入力ORゲートを4つ搭載したIC。
    OR(論理和)の真理値は以下の様になります。
    • 真理値表
      A B Y
      L L L
      L H H
      H L H
      H H H
    • ピン配置
以上が実装済みの主要パーツで、以降が実装が必要なパーツとなります。
  • S-8054ALB
    S-805シリーズは、CMOSプロセスを使用して作られた非調整電圧検出器です。
    検出電圧は内部で固定されています。
    電圧検出器は、高精度かつ低消費電力の標準電圧源、コンパレータ、ヒステリシス回路、および出力ドライバで構成されています。
    S-8054シリーズは、5V電源モニタかCPUのリセットに適しています。
    • ピン配置
      1 OUT
      2 VDD
      3 VSS
    • S-805シリーズ絶対最大定格
      パラメータ シンボル 評価 単位
      電源電圧 VDD - VSS 12.0 V
      入力電圧 VIN VSS - 0.3 ~ VDD + 0.3
      出力電圧 Nch open drain出力 VOUT VSS - 0.3 ~ 12
      CMOS出力 VSS - 0.3 ~ VIN + 0.3
      出力電流 IOUT 50 mA
      消費電力 PD 200 mW
      動作温度 Topr -20 ~ + 70
      保管温度 Tstq -40 ~ +125
      注意:静電気を最小限に抑えてください。
    • 電気的特性
      S-8054ALB(検出電圧:3.995V〜4.305V)
      パラメータ シンボル 条件 Min. Typ. Max. 単位 テスト回路
      検出電圧 -VDET 3.995 4.15 4.305 V 1
      ヒステリシス幅 VHYS - -VDET
      x 0.05
      - V 1
      消費電流 ISS VDD = 6.0V - 2.6 6.0 μA 2
      動作電圧 VDD 1.6 - 10.0 V 1
      出力電流 IOUT Nch
      VDS = 0.5V
      VDD = 1.2V 0.23 0.50 - mA 3
      VDD = 2.4V 1.60 3.70 -
      VDD = 3.6V 3.18 7.00 -
      Pch
      VDS = 2.1V
      VDD = 8.0V 1.00 - - 4
      -VDETの温度特性 △-VDET
      △Ta
      -20℃ ≦ Ta ≦ 70℃ - ±0.52 - mV/℃ -
    • テスト回路
    ボード上での実際の動作は、マニュアルにも書いてありますが、S-8054ALBを組み込む事で起動時や供給電圧が4.5V以下になるとリセット動作が行われます。要は供給電源が不安定な状態ではCPUを動作させないために用いられています。
    これらをリセット回路と呼び、抵抗とコンデンサだけで簡単な回路を組んで再現する事も不可能ではないので、作ってみるのも面白いかもしれませんね。
  • 整流用ショットキーダイオード 1S3 x 2
    ショットキーダイオードの特徴:
    • 順方向(VF)の電圧降下が低い
    • 逆回復時間(trr)がないのでスイッチングが高速
    • リーク電流(IR)が大きく逆方向耐電圧が低いので熱暴走しやすい
    詳細はWikipediaで確認して下さい。
  • 汎用小信号ダイオード 1S1585 x 1
    1S1585の特徴:
    • 外径が小さい
    • 許容電力損失が大きい P=300mW
    • 順方向特性が良い VF=1.0V(最大) / IF=100mA
    • 逆回復時間が小さい trr=2nS(最大)
    • 端子間容量が小さい CT=2pF(最大)
    詳細はデータシートを参照して下さい。
  • 水晶発振子(24.576MHz x 1 or 19.6608MHz x 1)
    24.576MHzでは、システムクロックは12.288MHz、RAM/ROMは70nS以下
    19.6608MHzでは、システムクロックは9.8304MHz、RAM/ROMは100nS以下
  • コンデンサ
    (電解コンデンサ47μF x 1、積層セラミックコンデンサ1.5μF x 4、33pF x 2)
    積層セラミックコンデンサ(1~1.5μF)は、リードピッチ5mm
    積層セラミックコンデンサ(33pF)は、リードピッチ2.5mm
    のものを選択しましょう。
  • 抵抗(10kΩ x 6、100kΩ x 1)
    取り付け場所が2.5mmピッチなので1/6Wのものか、1/8W相当の小さなサイズを選択しましょう。
続いて、部品表ではソケットのみが記載されていますが、ROMのピン配置や動作条件についても確認しておきます。
  • EPROM 27C256
    A0 to A14 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 25, 24, 21, 23, 2, 26, 27 アドレス入力
    OE 22 出力イネーブル
    CE 20 チップイネーブル
    VPP 1 書き込み電圧(-0.6V〜+14.0V)
    O0 to O7 11, 12, 13, 15, 16, 17, 18, 19 データ出力
    VCC 28 +5V 電源(-0.6V〜+7.25V)
    VSS 14 グランド(0V)
    AKI-80の配線ではROMへの書き込みは無関係なので現時点では除外しています。
    Modes
    Operation Mode CE OE VPP A9 O0 - O7
    Read VIL VIL VCC X DOUT
    Standby VIH X VCC X High Z
    Output Disable VIL VIH VCC X High Z
    X = Don’t Care
    • Read Mode
      ※詳しくはデータシートのタイミング図とAC特性を参照して下さい。

      読み取りモードでのアクセス条件:
      1. CEピンをLOW(VIL)にしてチップを有効化する。
      2. OEピンをLOW(VIL)にしてデータ出力ピンを有効化する。
      読み出し動作の場合、アドレスが安定している場合、アドレスアクセス時間(tACC)はCEから出力(tCE)までの遅延に等しくなります。OE(tOE)の立ち下がりエッジから遅れてデータが出力に転送されます。
    • Standby Mode
      スタンバイモードは、CEピンがHIGH(VIH)でProgram Modeが未定義の場合に有効化されます。 これらの条件が満たされると、電源電流は20mAから100μAに低下します。
    • Output Enable
      この機能により、複数のバス・マイクロプロセッサ・システムでのバス競合がなくなり、次の条件が成立すると出力がハイ・インピーダンスとなります:
      • OEピンがHIGH(VIH)で、Program Modeが未定義。
    • Program Mode
      Program Modeは次の条件により定義されます:
      1. VCCが適切な電圧(6.5 ±0.25V)に設定され、
      2. VPPも適切なVHレベル(13.0 ±0.25V)に設定され、
      3. OEピンがHIGH(VIH)で尚且つ、
      4. CEピンがLOW(VIL)の状態。
    ここでは、実際にはROMを使用せずにピンヘッダの設置のみの予定ですが、配線の確認についてはROMのピン配置に該当するスルーホールを対象として表示を行います。
以上が全パーツの紹介となります。
次回ではAKI-80の回路図を確認していきたいと思います。

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